【雑記】早期リタイア「FIRE」ブームの懸念

新しく投資を始める若い人の間で「FIRE」が話題になっています。

早期退職には多額の貯金が必要なイメージを持つ人も多いかと思いますが、FIREはだれでも目指すことができる概念として脚光を浴びています。

FIREがブームになることで資産運用をはじめる方が増えることは望ましいのですが、個人的には単なる「ブーム」で終わってほしくないと感じています。

「FIRE」が日本に根付くために。

問題点もしっかり理解していただければと思います。

 

(今後、「この記事を書いている人」という簡単なプロフィールが載るように設置したいと思っているのですが、間に合っていないので簡単に。
筆者は資産運用6年目、投資比率は80%ほどです)

 

 

目次

「FIRE」とは?

FIRE(ファイア)とは「Financial Independenc, Retire Early」の略称で、直訳すると「経済的自立と早期退職」となります。

経済的に自立することで定年を待たずに早期で退職し、資産運用などを中心に生活していくことを指すものです。

数年前から米国や欧州で広がりを見せたのち、現在は日本でもブームとなっています。

日本では少子高齢化の影響で、年金の受給開始年齢がどんどん遅くなっています。
70歳からの年金受給となれば、70歳まで働き続けなければ収入がないことになります。

そんな中で追い打ちをかけるように「コロナショック」がありました。

職場や通勤から距離を置きたい人が増え、FIREへの憧れと注目度は一気に上昇し、ここまでのブームとなっているのです。

 

FIREの「4%ルール」

FIREの発祥地である米国では、「4%ルール」というセオリーがあります。

FIRE(早期リタイア)する際の資産額の目標を「年間の生活費の25倍」と設定し、その資産を運用して年4%の利益を出していけば資産を減らさずに生活していけるというものです。

このルールに則れば、最低限の生活費で良ければ数千万といった比較的現実的な貯蓄額の段階でリタイアできることになります。

毎月20万で生活している人であれば、「20万×12ヵ月=240万」が年間の生活費。
「年間の生活費240万×25=6000万円」があればFIREできるということになります。

もちろん、米国と日本ではインフレ率や市場成長が異なります。
同じ指標がなりたつわけではありませんが、FIREを目指す人はこの観点から「リターンを安定して維持する」ことを重視する必要があります。

 

FIREの最大の懸念:はたしてリターンは安定して維持できるのか

FIREはセミリタイアとは違い、労働などで収入得ることはせずに生活する人のことを指します。
労働収入の代わりに、投資の運用益で生活を維持していかなければなりません。

つまり、リーマンショックのような長期にわたる金融危機に遭遇した時が最大の懸念になります。

リーマンショック時、運用資産が元通りになるには平均約5年ほどかかりました。
これはしかも、運用資産を全く取り崩していない場合です。

FIREのように運用益を収入源として頼り切っている場合は、運用資産を取り崩していかなければ生活できません。

金融危機の中で運用資産を取り崩すということは、運用資産を損切りしていくということになります。
損切りして運用資産残高を減らせば、価格が上昇する局面で元通りになるはずの資産も減少してしまいます。

資産運用の大原則、「長期保有」ができないわけです。

今後、リーマンショックほど大きな金融危機は起こらない可能性もありますが、可能性はゼロではありません。

リーマンショックほどではなくても、何かしらの金融危機は5年に1度は起こってきました。

金融危機に備えることは必須です。

 

FIREのポイント①:資産運用以外の収入の軸を持っておく

FIREがリターンを安定して維持しなければいけない理由は「収入の軸が資産運用益しかないため」です。

つまり私は、金融危機に備えて「資産運用以外の収入の軸を持っておく」ことは重要かと思います。

それは今よりも日数を少なくして働くのでも構いません。
現代はスキルの販売もできますし、せどりやブログ運営で収入が稼げるのであればそれで十分だと思います。

年間の生活費よりもはるかに多い資産を稼げた人でない限り、収入の軸も分散して持っておくことは最重要ポイントだと思います。

 

FIREのポイント②:金融危機時の損失想定額は、実額で意識しておく

私は本業で資産運用のお手伝いをしています。

資産運用初心者の方には、必ず「一時的に損になった場合には、○○円になる可能性がある」と実額でお伝えするようにしています。

なぜかというと「相場は上昇する一方ではなく、下落するときもあるもの」と頭では理解していても、いざ金融危機になった時に損失の実額を見ることで一気に不安が高まる人が多いためです。

例えば、初心者によく進められているインデックス運用のひとつ「S&P500
リーマンショック時には、最大で56.8%下落しました。

パーセンテージではいまいちピンとこないですよね。

100万が一時的に43万2000円
1000万が一時的に432万円

になります。

先ほど、FIREの4%ルールの部分で「月々20万の生活費の人は6000万貯めればFIREできる」とお伝えしました。

コツコツ積立していって、ついに目標にしていた6000万に到達!
そんなときにリーマンショックと同等の金融危機が起こったとします。

6000万は一気に2592万円へ下落

します。

どうですか?なんとなく想像できましたでしょうか。

ここであなたは「資産運用は長期保有が大事。このまま持ち続けていれば大丈夫!」と思えそうですか?

 

金融危機に直面している個人投資家の多くはここで「まだ下がるかもしれない」と考えます。

「資産がもっと減ってしまう前に、今のうちに売却して預金に置いておきたい」とも考えます。

 

ここでどう行動するかで今後の資産価格が変わってきます。

①一時的にこのくらいまで値段が下がる可能性があると覚悟していた方であれば、「このまま持ち続ける」ことで価格は元通りになりました。

②今が安値だ!と「追加で投資をした」方は資産が倍になりました。

③不安な気持ちに耐えられず「売却してしまった方」は、資産が減ったまま0%金利の預金に移され、その後価格が上昇することはありませんでした。

 

筆者の主観ですが、ここで強気に②を選んで追加投資できてた方はほとんどいません。

しかし、追加投資はせずともせめて①を選び「売却せずに持ち続けてほしい」んです。

 

みなさんが目指すFIREは、必然的に投資比率が高くなります。

「相場が下がらないように利益が出たら解約しておこう」と考える人はFIREできません。

なぜなら、先ほど例に挙げた6000万を貯められてFIREしたとしても、
そこから6000万円全額を運用し続け、継続的に4%の運用益を出していくことが前提の話だからです。

ちなみに4%の運用益を継続的に出していくためには、株式のようなリスクを伴う資産に投資をしなければ実現は難しいかと思います。

過去、金利の高い局面で債券を購入できた方は固定金利で3%以上の商品を保有できていましたが、現在の金利情勢でそういった商品はありません

 

ぜひ、実額で損失額を想定してみてください。

FIREを目指す方は、一時的に想定した損失額を見ても我慢してみてください。

 

想定した時に「こんなに値段が下がったとしたら我慢できない」と思う方は、自分の許容できる投資比率ではない方です。

私は、必ずしも全員が完全なFIREを目指す必要はないと思っています。

ポイント①でお話したように資産運用以外にも収入の軸を用意しておけるのであれば、自分の許容できる投資比率の中でセミリタイアを目指すことは十分可能です。

自分の投資許容額をしっかり考えて投資してみてくださいね。

 

投資初心者の方によく「つみたて」がオススメされますが、急に投資比率を上げる必要がないため個人的にもオススメです。
また、相場が下がった局面で安く買い増しをしてくれるドルコスト平均法もリスク分散として効果的です。

ただ、その積立が貯まっていったときに自分の投資許容額以内かどうかには注意してみてください

 

まとめ

ブームのFIREを機に、ぜひみなさまには資産運用をしていってほしいです。

そして、もし今後金融危機が起こった時にも資産運用から離れないでいてほしいです。

繰り返しますが、みなさんが全員、完全なFIREを目指す必要はありません。

いくら損失を想定していても、いざ危機に直面した時に感じる感情はその時になってみないとわからないものです。

そして、家計を共にしている人がいる方は、その家族の考えも大事にしてみてください。

自分では覚悟ができていた損失だったとしても、家族が知った時に同じ感情でいてもらえるとは限りません。

私は相場が下落した局面で、不安で夜も眠れなくなってしまった方を見てきています。

 

不安ばかり煽るような記事になってしまって申し訳ないです。

ただ、コロナ後の景気上昇で利益の出やすい相場の現在、安易に資産運用を勧める記事も多く目にします。

資産運用はした方がいい。これは断言します。

そして私もFIREしたい。(笑)

ただ良いところばかりに目を奪われないでください。

みなさまと楽しみながら資産運用できますように。

 

最後までお読みいただきありがとうございました

 

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この記事を書いた人

共働き夫婦の2人暮らし
|副業禁止の会社員です|営業職
|FP2級保有|貯蓄についてお話していきたいです
|まずは自分の経験談から投稿していきます
|2021.4.30ブログ開設

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